冨板尚倫公認会計士事務所 > 記事一覧 > 個人事業主が青色申告にするメリットとは?注意点も解説
個人事業主が青色申告を行うことで、さまざまな税制上の優遇を受けることができます。
本記事では、青色申告のメリットや注意点について解説します。
個人事業主が青色申告を行うメリットは以下の通りです。
青色申告のメリットは、所得金額から最大65万円を差し引くことができる青色申告特別控除を利用できる点にあります。
所得税は、売上から経費を差し引いた利益に対して課税されますが、この控除を適用することで、帳簿上の利益を最大65万円少なく見積もることが可能です。
所得金額が減れば、所得税だけでなく、住民税や国民健康保険料の負担も抑えることができます。
事業を運営していると、売り上げの減少や先行投資によって赤字が生じる年もありますが、青色申告ではこの損失を翌年以降に引き継ぐことができます。
これを純損失の繰越控除と呼び、赤字が出た年の翌年から3年間にわたって、将来の黒字と相殺することが可能です。
黒字との相殺を行うことで、翌年以降の所得を圧縮し、税負担を抑えることができます。
青色申告を行っている個人事業主は、30万円未満の資産を購入した際、その全額を一括で経費にできる特例を利用できます。
通常、パソコンや器具備品などの10万円以上の資産を購入した場合は、数年にわたって減価償却を行う必要があります。
しかし、この特例を活用すれば、購入した年に取得価額の全額を費用として計上できるため、その年の利益を大きく圧縮することが可能です。
利益が出ている年に設備投資を行うことで、納税額をコントロールしやすくなる点は、経営上のメリットとなります。
以下の手順で、手続きを行います。
◼️必要書類の入手
所得税の青色申告承認申請書を用意します。
税務署の窓口で受け取るほか、国税庁のウェブサイトからダウンロードすることも可能です。
◼️書類の作成
氏名、住所、職業、事業所所在地などの基本情報に加え、備え付け帳簿名を選択して記入します。
◼️書類の提出
作成した書類を、所轄の税務署へ提出します。
提出方法は以下の3つから選択します。
個人事業主が青色申告を行う際には、以下の点に注意する必要があります。
青色申告による控除を受けるためには、複式簿記によって帳簿を作成しなければなりません。
複式簿記は形式が複雑で、独力での作成は困難かもしれません。
また、確定申告の際には、損益計算書だけでなく、資産や負債の状況を示す貸借対照表を添付する必要があります。
記帳内容に誤りがあると、控除が取り消される恐れもあるため、正確な作業が求められます。
青色申告の承認を受けるための申請には、厳格な期限が設けられています。
原則として、その年が始まる前、あるいは事業を開始した日から一定期間内に、あらかじめ申請を済ませておく必要があります。
具体的な期限は以下の通りです。
期限を1日でも過ぎてしまうと、どれほど正確に複式簿記で記録をしていても、その年の青色申告は認められず、自動的に白色申告となってしまいます。
青色申告に切り替えようと考えた時点で、すぐに手続きを行うことが重要です。
青色申告を行う者は、作成した帳簿や取引に伴って受け取った領収書、請求書などの書類を一定期間保存する義務があります。
帳簿や重要な書類については、原則として7年間の保存が必要です。
帳簿書類は、税務署からの求めがあった際にいつでも提示できる状態で整理しておく必要があります。
書類を紛失してしまうと、経費として認められなくなるリスクがあるため、注意して管理しましょう。
個人事業主が青色申告を行うことで、65万円の特別控除や損失の繰越、少額減価償却の特例などの税制優遇を受けることができます。
一方で、複式簿記による正確な記帳や、期限内の申請、書類の保存を行う必要があるなど、実務面での負担が大きくなることも把握しておきましょう。
青色申告への切り替えを検討の際は、専門の税理士までご相談ください。